カカオの産地から日本まで、笑顔がつながるチョコレートブランド「バニラビーンズ」
あなたは大切な人にどんなチョコレートを贈りたいですか? 人の心まで届く贈り物は、甘く美しいだけではなく、その奥に物語を秘めているものかもしれません。『チョコレートで世界を幸せに』をモットーに、カカオ豆から手作りでチョコレートを生み出している日本のチョコレートブランド「バニラビーンズ」には、国境を越えて笑顔がつながるチョコレートがずらりと並んでいました。
みなとみらい本店、川崎店を展開し、2019年2月には鎌倉店をオープンさせるバニラビーンズ。
そのはじまりは2000年、熟練のショコラティエでもある八木克尚さんが自宅に建てた小さなプレハブ工場からスタートしました。
チョコレートの本場・フランスでパティシエの修行をしていた頃に考案した「ショーコラ」は、創業以来ずっと愛され続けるロングセラー商品に。上質な生チョコを、さくっと香ばしいバタークッキーに挟んだショーコラは、日本人の口に馴染みやすく、シンプルだからこそ奥深いチョコレートの真髄を感じとることができます。
やがて、日本発のチョコレートブランドがたくさんの人に愛されるようになり、徐々に日本のチョコレートファクトリーが増えてきたことから、カカオ農園とのダイレクトトレードも実現するようになりました。
カカオ豆の栽培は、収穫してから一週間ほど発酵させて、さらに乾燥させて……と、とても手間ひまがかかるもの。その手間の割には、各国とのフェアな取引が実現しておらず、貧困を余儀なくされて栽培をやめてしまうカカオ農園も多いといいます。
バニラビーンズでは、そんなカカオ農園への視察を重ね、作り手との対話を大切にすることで、労働に見合う安定した対価を得られる世界を作りたいと考えています。チョコレートを食べる人、作る人、育てる人との、末永い「三方よし」の関係。昔ながらの日本の商いを、チョコレート業界にも落とし込もうとしているのです。
現在、バニラビーンズのフレーバーチョコレートなどに使われている主なカカオ豆は、トリニダード・トバコのグランコヴァ村の農園のものです。
大きな麻袋に詰めこまれ、船に乗ってはるばる日本まで運ばれてきたカカオ豆が、ショコラティエの手によってチョコレートになるまでの様子を、「バニラビーンズ みなとみらい本店」のファクトリーで見学させてもらいました。
まず、カカオの果実から取り出されたカカオ豆を『焙煎』します。この焙煎機は、コーヒー豆の焙煎に使われる機械と同じもの。焙煎豆は皮をむき、コーヒー豆のピッキング作業と同じように、いいものだけを選り分けていきます。この焙煎技術にもショコラティエのこだわりが光っています。
次に『コンチング』という工程に入ります。蓋をあけると、なんともいい香りが漂ってきました。「メランジャー」という機械の中で石臼が回転しながらカカオ豆をすりつぶします。コンチングは1日から数日かけて行われ、チョコレートの香りとなめらかさを高めていきます。
最後に、『テンパリング』という温度調整を行うことで、チョコレートの口どけや品質を高めていきます。そうして仕上げられたチョコレートを、ショコラティエが一つ一つ型に流し込み、空気を抜いて形を整えていくのです。
私たちの元に届くまで、たくさんの人の手によって作られているチョコレート。
バニラビーンズで販売している板チョコレートの種類は、およそ30種類にものぼります。『コロンビア』『ブラジル』『ハイチ』など産地の違いを味わえるものから、お酒に合う燻製のような風味が楽しめる『スモーク』や、パチパチと弾けるような『スパークリング』など、眺めているだけで「どんな味なのだろう」と楽しくなるようなフレーバーも。
今、バニラビーンズが取り組んでいるのは、カカオを栽培する女性たちを支える『農家のお母さん応援プロジェクト』。バニラビーンズの売り上げの一部が、プロジェクトの支援金となる取り組みです。
「現地の農園に伺うと、カカオ豆の栽培への強いこだわりや、熱い想いを持っている女性がとても多いんですよ」。そう話してくれたのは、バニラビーンズ広報担当の渡辺泉季さん。お店では、カカオ豆からチョコレートを作るワークショップも開催し、チョコレートを支える人々の奥深い物語を知ることができます。
ずっとチョコレートを味わうことができるように、また、カカオの作り手があたりまえの暮らしを営むことができるように。作る人から食べる人へ、笑顔がつながるバニラビーンズのチョコレートを味わってみませんか?
記事は取材当時のものです。