食べることに喜びを。人を元気にするパン「うぐいすと穀雨」オーナー 鈴木菜々さん

うぐいすと穀雨 パン

 

現代を自分らしく生きる女性たちにフォーカスし、彼女たちの仕事や生活についてインタビュー!記念すべき特集第一弾は、雑司ヶ谷でベーカリーカフェ「うぐいすと穀雨」を営む、店主の鈴木菜々さんにお話を伺いました。

 

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雑司が谷駅からほど近い、グリーンの壁が目印のビル。そこからパンとコーヒーの美味しそうな香りが漂ってきます。こちらがベーカリーカフェ「うぐいすと穀雨」です。美味しく体にやさしいパンと店主の鈴木さんのあたたかなお人柄が人々の心を掴み、連日お客さんで賑わう人気店。そんな鈴木さんがこちらのお店を開くまでのことを教えていただきました。

 

うぐいすと穀雨

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高校時代から飲食業に興味を持っていました。将来はパティシエになりたくて。ですがもともと体が弱かったこともあり、当時両親や学校の担任からは過酷な飲食の道に進むことを心配されていました。

 

大学には進んだのですが、飲食ではなく、こちらも高校生の時に興味を持った写真について学ぶ学部に入りました。その後卒業してから2年ほどは療養することを決めて、その甲斐もあり体調も落ち着いてきたので、カフェで働きながら写真の仕事をするようになりました。26歳を迎えた頃、この先飲食と写真のどちらを将来の目標としてやっていくかを真剣に考えたのです。

 

自分が持病に苦しんだこともあって、食べ物を食べることは命に直結することだと実感しました。食で誰かを元気づけることができたらと思い、本格的に飲食の道に進むことを決意します。そんな中、気軽な気持ちで作ってみたパンが思いの外しっくりきて、その後専門的にパン作りを勉強しながら、パン屋で働くことを経て現在に至りました、と鈴木さん。

 

うぐいすと穀雨 パン コーヒー

 

若くして苦労を繰り返してきたからこそ、食べることへの喜びや幸せを人一倍感じられたのかもしれません。そして昔からやりたかった飲食業に就き、独立された鈴木さん。ひとつの夢を叶えたいま、仕事で一番大切にされていることについて伺ってみました。

 

やはり無理をしないことでしょうか。好きなことを仕事に選ぶと、生活と仕事に差がなくなってしまうことってあると思うんです。やろうと思えばどれだけでもできてしまうし、ただそれを続けると苦しくなってしまいます。だからこそブレーキは自分でかけるしかないんですよね。

 

食べ物を作る仕事は人の命に関わることです。また私自身、お客さんに対してうちのパンを食べる前より元気になってほしい、という気持ちでやっているので、作る本人が疲弊してしまったら矛盾してしまいますもんね。仕事第一にして無理をしすぎてしまうのではなく、自分自身も元気でいてほしいので、そういうところで仕事を止めるということはとても大切だと思っています。

 

そう語る鈴木さん、高校時代に陸上部のマネージャーをしていた時のエピソードも教えてくださいました。当時先生に「菜々の声は人を元気にする力がある」と言われ、そこから人のために何か元気付けられることをしたいと思うようになったのだそうです。私たちも納得してしまいました。

 

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うぐいすと穀雨 パン インテリア

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では、生活で一番大切にされていることとはどんなことなのでしょうか。

 

生活を大切にできるように、仕事とそうでない時間をしっかり切り離せるようにすることです。先ほどお話ししたように、どうしても仕事ばかりになってしまいがちなので…ちゃんと切り離して生活を豊かにさせることを意識しています。例えば住みたい場所に住んだり、行ってみたい場所に行ったり、と鈴木さん。

 

自身でお店を持ち経営していくとなると、常に仕事のことを考えてしまうものなのかもしれません。自分の落ち着く場所に住むことや、興味の向く場所に行くことは、何気ない日常の中で自分を元気付ける大切な要素なのですね。一方で、働く女性ならではのお悩みや苦労などもあるようです。

 

うぐいすと穀雨 パン

 

女性だからこそ開業しやすかったり、仕事を選びやすかったりということはある気がしています。男性よりも、誰かを養うという感覚がまだ少ないからなのかもしれません。

 

ですがその分、自分自身が描く将来像、例えば結婚や出産などを考えていたら、仕事と生活をどちらも100%でこなすことはどうしても無理が出てきてしまいます。うまい配分を考えなければいけないのは大変なことだと思います。そういった意味で、女性だからこそこれからどうしていくかと悩むことは多いのでは、と感じています。

 

そうお話しされる通り、女性にはさまざまなステージがあり、選択をしなければならない場面が多いのも事実。では、今まで働いてきた中で鈴木さんが挫折しそうになった経験はあるのでしょうか。

 

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辞めたいと思ったことは一度もないです。ただ、お店の責任者として、その名の通り責任を持って自分で全て決めるということ、また稀ですがお客さんを相手にする中で嫌な思いをしてしまうこと。それらを全て自分で背負っていかなければならないので、そんなときは人に頼れなかったり、プレッシャーがあります。

 

どんなにスタッフがいても、結局責任という意味では自分一人。そういった意味で挫折と言いますか、一人って辛いな、とたまに思うことがあります。ですがその中でスタッフに協力を仰いでみたり、信頼している人に話を聞いてもらったりすることで心の負担が軽くなるのも事実なので、感謝は忘れません。

 

鈴木さんの現在のワークライフバランスは約90%が仕事だと感じているそう。自分の時間と仕事を切り離すことがまだまだ難しく、上手な休み方を学ぶことが課題なのだそうです。そんな中でも、日々の暮らしをよりよくするアイデアを教えていただきました。

うぐいすと穀雨 インテリア

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ひとつは好きなものを揃えることです。自分自身の見える範囲、周りにあるものも愛情があって手をかけられるものに絞っていくと気持ち良いですもんね。ものが増えすぎると少し息苦しくて、ひとつひとつが見えにくくなるので、リセットするために引っ越しをしたり、掃除したりすることは大切だと感じています。

 

もうひとつは好きな場所に住むこと。普段の景色は働いていてもそうでなくてもいつも見るものだから、気に入った場所に住むことはすごく大事だと思っています。

 

あとは会いたい人に会いにいくことでしょうか。遠方にいる方や、旧友など、その人のためだけに時間を作ってゆっくりお話しする。すごく癒されますし、学びになります。なんだか、お店を始めてから生き方がシンプルになった気がしますね、と笑顔で答えてくださいました。

 

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ふと気付くと、家の中に使わないムダなものが増えていることってありますよね。そして忙しい日々の中で大切なことを忘れてしまうこともあるかと思います。シンプルに生きるということは、簡単そうに見えて実はとても難しい。

 

自分の考えをしっかり持ち、自然にそれを実践されている鈴木さんはとてもすてきだと感じました。続いて、鈴木さんのいまの仕事を通してみなさんに伝えたいことをお聞きしました。

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当初から業種は問わず人を元気にすることをしたくて、カウンセラーやマッサージ師になることも考えていました。パン屋でなくてもよかったんです。しかしいろんな道がある中で、飲食は体の内側から体調を整えることができるし、味覚的に美味しいと感じられる純粋な喜びがあります。その人の体と気持ちの両方を元気にできるんです。

 

お客様も私がこういったものを作っていると分かって来てくださるので、せめてここに来てくださった時だけでもほっとしてくれたら嬉しいです。ただのパン屋ではなく、カフェスペースを設けたことにより、お客さんがゆったり一息つけるような場所作りができました。

 

食べること自体がとても幸せなこと。みなさん日々忙しくされていると思いますが、あまり自分を追い詰めず、たまにはゆっくり過ごすことも意識してみてくださいね。

 

うぐいすと穀雨 パン

 

最後に、今後挑戦したいことについてお聞きしました。

 

そうですね…パンではないことをしたいです!まだ未定なのですが、奥の部屋を別の業態にして、マッサージなど、別のアプローチで人をリラックスさせることをやってみたいです。現在のお店の仕事だと、どうしてもひとりひとりのお客様と向き合う時間があまりできないので、一対一の対面で何かお客様と関われることをしていきたいなと考えています。

 

「人を元気にさせたい」「もっとリラックスさせてあげたい」と、人にポジティブなパワーを与えてくれる鈴木さん。普段からお話をさせていただいても、鈴木さんがその場にいるだけで不思議とみんな笑顔になり、あたたかい気持ちになれる陽だまりのような存在です。今後の活躍が楽しみでなりません。

 

今回は、「うぐいすと穀雨」店主の鈴木菜々さんへのインタビューでした。次回もお楽しみに!

 

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記事は取材当時のものです。