伝統を守りながら、魅力あるユニークな花火や思わず笑顔になる花火を作り続ける 福岡県「筒井時正玩具花火製造所」
誰もが子供時代に遊んだことのある花火、その伝統を守りながら技術を生かし、魅力ある新しい製品を作り出している花火工場があります。見た目にもユニークで美しく、遊びごころいっぱいの花火が生み出される福岡県の「筒井時正玩具花火製造所」にお話を伺いました。
筒井時正玩具花火製造所は80年以上子供向けの玩具花火を作ってきた工場で、日本で3社しかないという国産線香花火の製造所でもあります。
製造所は福岡県みやま市の緑豊かな土地に構えられています。
過去には国内唯一の線香花火製造所であった工場が廃業し、日本の線香花火は消えてしまったと思われていましたが、3代目筒井良太さんがその製造所の技術を引き継ぎ、現在に至ります。
伝統の光を守り続けながら、常にユニークで新しい花火を作り出している理由は、子供だけではなく多くの方に興味を持ってもらい素晴らしい日本の伝統を後世につたえたいから。
人を笑顔にさせてくれる、夢のある遊びを絶やさずに生み出し続けています。
ところで線香花火は東日本と西日本で形状が異なるのをご存知でしたか?
関東地方を中心に親しまれている線香花火は写真中央のもの。写真右の線香花火は関西地方で遊ばれている300年変わらない線香花火の原形とも言われている花火です。
筒井時正玩具花火製造所ではこんなユニークな花火も作っています。この「吹き上げる鯨花火」は大きな体から豪快に潮を吹き上げる鯨の様子を花火で表現したもの。
一目見たときは、花火だとは思わなかったほど。とても遊びごころと創造性に富んだ花火ですよね。
こちらは線香花火とは思えない、可憐で繊細なデザインの花火です。
八女の手漉き和紙、宮崎の松煙、草木染めなど材料にとことんこだわり新感覚の線香花火を目指したそうです。また、線香花火の先を花びらのように撚りあげ、束ねて広げること一輪の花のように見えます。
ギフトにも大変喜ばれそうですよね。
また線香花火もワインと同様、「熟成」によって味わいが深まるそうです。時を経た線香花火は、どこかやわらかく、温かみのある火花を散らします。購入時のパッケージに入れ、湿気のない場所で保存し、翌年の楽しみにするのも一興です。
人の一生に見立てられることもある線香花火ですが、「違った視線で花火を感じてほしい」と筒井さん。
線香花火はひとつひとつ職人さんの熟練の技で手作りされています。その伝統や文化を含め、海外にも魅力を伝えていきたいそうです。
伝統の光、線香花火。これからの季節、たまには子供心に返って花火をゆっくり楽しんでみませんか?
こちらは2017年5月19日公開の記事を再編集して公開しました。記事は取材当時のものです。