“浮世の雑念はお忘れください” ジブリアニメのモデルになった大正ロマン香る湯宿で温泉を愉しむ
ジブリアニメ「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルになった温泉のひとつと言われる、群馬県・四万温泉(しまおんせん)にある「積善館」。大正ロマンが香る広々とした温泉に浸かれば、浮世の悩みも何処へやら・・・ “四万(よんまん)の病を癒す”という、肌に優しいやわらかい湯に身体も心もやんわり包まれます。
(C)tawawa
四万川の流れに沿って続くひなびた温泉街を歩いていると、ここだけ時間が止まってしまったかのように現れる赤い橋。“ここからは浮世の雑念は忘れください”と言われているような、不思議な魅力をもっています。静寂と古へのロマンに導かれる橋の向こうには、元禄7(1694)年、江戸時代創業の積善館の姿が。
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ガラスの引き戸・飴色に輝く柱や梁・電話室・木造の階段・・・ 今から300年以上も前に建てられた2階建ての木造建築は、典型的な湯宿の姿を残し群馬県の重要文化財にも指定。往時の面影をそこかしこに感じることができます。
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温泉ファンならずとも、一度は入ってみたい「元禄の湯」は、昭和5(1930)年に建築されたもの。浴場前には、胃腸に効くという飲泉所があり、喉を潤してから青と赤の暖簾が風に揺れる温泉へ。
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実はこの「元禄の湯」。お風呂なのに、国の登録有形文化財に指定されているほど貴重なもの。脱衣場と浴室が一体化した造りになっていて、声が響きそうなほど高い天井にアーチ窓が連なります。アーチ窓からの木漏れ日が浴室の雰囲気をつくり、石造りの5つの湯船が整然と並ぶシンメトリーな姿は、思わずお風呂に入ることを忘れしまうほどの美しさ。
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なみなみと溢れ出る、無色透明の硫酸塩泉の湯に身体を沈めれば、なんと湯船の底から源泉が湧き出しています。“草津の上がり湯”とも言われるなめらかで肌に優しい湯は、身体にすっ~と浸透していくような心地好さ。傍らには、お風呂のルーツといわれる「蒸し湯」もあり、シャワーなどもすべて温泉が使われています。
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湯上りには、積善館名物の「せきぜん温玉シェイク」300円を。自家製バニラシェイクの上に、とろとろの温泉玉子の黄身だけがトッピングされたもので、素朴なミルクの風味が火照った身体に染み渡ります。無料休憩室もあるのでゆっくりと。
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四万川の清流と緑を感じながら、のんびりと温泉街を散策するのもおすすめです。上流には圧倒的な迫力をもった要塞のような「四万川ダム」や、“シマブルー”と称される神秘的なコバルトブルーの「奥四万湖」が広がります。
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こんな温泉マークの入ったカプチーノを出すカフェもあり、ゆったりとした時の流れの中で、里山の温泉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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記事は取材当時のものです。
四万温泉 積善館
https://www.sekizenkan.co.jp/day/
【住所】群馬県吾妻郡中之条町四万温泉
【営業時間】11:00~16:00(入浴は~17:00)
【定休日】なし
【料金】1200円
【アクセス】関越自動車道「渋川伊香保IC」より国道17号・国道353号を経由して約1時間(東京からの高速バス「四万温泉号」もある)