糸紡ぎ作家「REIKOMONO」が生み出す、作り手と人を繋げるあたたかな手紡ぎ糸
ふわふわ、もこもこ、カラフル。女性の心を掴む要素がぎゅっと詰まったこちらの糸、実はすべて手紡ぎで作られているのです。今回は、スピンドルや紡ぎ車を使って一本一本丁寧に紡いだ糸の生産から販売まで行うハンドメイドブランド、「REIKOMONO」をご紹介します。
主に羊毛を使って作られるという糸。手紡ぎならではの優しさや個性溢れる表情がとても魅力的で、いくつか集めたくなってしまいます。インテリアからファッションまで、私たちに身近なものとして活用できるアイテムの魅力について、糸紡ぎ作家兼ヤーンデザイナーとして活躍されているREIKOMONOさんに語っていただきました。
相手の個性を引き出すようなものづくりや場づくりを大切にしているというREIKOMONOさん。また、いつも決まった形を続けるよりも、その場その時の状況に合わせた、その瞬間で一番ベストな一度きりの形を意識していることがコンセプトなのだそう。
では手紡ぎで糸を作成するようになったきっかけとは何だったのでしょうか。
私は物心つく前からものづくりをしていたそうで、小さな頃から洋服や鞄、ジオラマなど色々なものを作ったり、試行錯誤を繰り返しながら様々な素材や技術に触れていました。手を動かすこともそうですが、好奇心や探究心が強い性格だったことが糸に興味を持つベースにあるのだと思います。
そしてある時、編み物でもしようかと思い立ちインターネットを見ていたところ、“羊毛洗いセット”という、毛刈りされた羊毛と石鹸と洗い方の説明書がついた商品が販売されていて、興味が湧き即購入。 今までにない体験を不思議に思いつつも、汚かった毛を実際に自分の手で洗い、ふわふわの白い羊毛に変化したことにまず感動しました。
そして一体これは何に使うんだろうと疑問を持ち再びインターネットで調べたところ、「糸紡ぎ」という技術に出会いました。当たり前のように身につけている衣服が糸から出来ていることは知っていましたが、そこで初めて実感し、衝撃を受けました、とREIKOMONOさん。
好奇心が思わぬところで糸紡ぎを引き寄せたのですね。そこからは息をつく暇もないほどにどんどん糸紡ぎにのめり込み今に至るのだそう。
糸紡ぎを知った次の月に、年に一度の糸紡ぎイベントがあったり、そこで出会ったお店のワークショップに参加してそのお店が主催するニュージーランド旅行に同行したり。そして紡ぎ車を購入し、アートヤーンという分野を生み出したアメリカのレクシー氏のワークショップに参加するなど、急激な勢いで糸紡ぎとの接点が増えていきました。
今年で糸紡ぎに出会って10年になりましたが、まだまだ糸の可能性に魅了され続けています、とREIKOMONOさんは語ります。続いて、REIKOMONOさんのものづくりに対するこだわりについて伺いました。
大切にしていることは、受け手のワクワク感や想像力を引き出すこと。 私の糸は、お客様からよく「使ってて楽しい」「ワクワクする」と言われます。それがとても嬉しいです。
なので編み物をしながら「こんな色が出てきた!」などと作りながら驚きを感じたり、「この糸をどう使おうかな?」と楽しみながら想像して欲しいと思っています。とにかく作ることが楽しいと思えるような、そんな糸をこれからも生み出していきたいですね。
そして、糸は素材であり、安定感があることで安心して材料として使うことが出来るものです。ですが、私はとにかく1玉1玉にそれぞれ個性があり、まとまりがあり、そしてときめくような完成した糸づくりを目指しています。
その完成形として仕上げた糸を、どんなふうに崩して自分のものにしてくれるのかが、一番作り手としてワクワクする部分だなと最近感じています。もちろん、お客様のことを考えると扱いやすい糸の方が良いのでは?と悩んだ時期もありましたが、私の糸を楽しんで使ってくれている人たちの声のおかげで、ブランドの個性がはっきりとしました。
そう語られる通り、さまざまな色を組み合わせ、決まった型のない独創的な糸を見ていると、これらが使い手ごとにどんなものに変化するのだろうと私もとてもワクワク感じます。
糸の生産や販売だけでなく、全国各地でのイベントやワークショップの開催も精力的にされているそう。その中での印象的なエピソードについてお聞きしました。
お客様や生徒さんたちとの交流は毎回深く熱いものなので、心に残っていることは沢山あるのですが、その中でも特に印象に残っていて日々の活力となっていることがあります。
それは金沢動物園でのワークショップに参加してくれたご兄妹とのエピソードです。 ご家族で私のワークショップを気に入ってくださり、その次の動物園でのイベント、そしてさらに池袋のルミネのワークショップにも参加してくれました。家がとても遠いことを知っていたので、わざわざ池袋まできてくれたことに感動しました。
ルミネでのワークショップの際、教える立場も経験してほしいなと思い、少しだけそのご兄妹にサポートをしてもらいました。「そのことがとても嬉しかった」とお母さんからメッセージをいただいたことはとても嬉しかったです。
また中目黒の展示でのワークショップにも来てくださって、嬉しそうに作品をリュックにつけた写真を送って下さったこともありました。 こどもたちの成長や変化も嬉しくて、私にとってとても思い入れのあるご家族だなと感じています。
作品や体験を通して感動を与えられること、作り手にとっても受け手にとっても心に残るものですよね。最後に、REIKOMONOとしての今後の展望や挑戦していきたいことについてお聞きしました。
「ワクワク」や「楽しい」という気持ちや想像力を引き出す糸づくりは今後も続けたいと思っていますが、更に今までにはない糸の使い方を思いつくことができるような、全く新しい形の糸にもどんどん挑戦していきたいと思っています。
作り手への挑戦というか提案のようなものですね。きっとREIKOMONOの糸を好きな方は喜んで下さると思うんです。また、想像力を引き出すようなワークショップもどんどん増やしていきたいとも思っています。
今は手紡ぎ糸を使った小物作りだったり、実際に糸を紡ぐ入門講座などを定期的に開催していますが、このネット社会を活かして、遠方の方や理由があって足を運べない方達にも楽しんでもらえるような形を考えています。
作り手と人とを繋げるREIKOMONOの手紡ぎ糸。普段私たちがつい忘れてしまう大切な何かを気づかせてくれるようで、より一層そのアイテムたちが持つあたたかさと魅力を感じました。
REIKOMONOでは、糸紡ぎワークショップを定期的に開催しています。楽しんで学んでいただきたいので、毎回笑いのある楽しい空間を心がけているそう。ワークショップ開催のご案内はSNSなどで行なっていますので、要チェックです。
Instagram: https://instagram.com/reikomono
Facebook: http://www.facebook.com/reikomono
糸の販売は、主に「赤坂蚤の市」での対面販売やメッセージなどでも受け付けています。また、「pinkoi」での販売もスタートしました。オリジナルの糸のオーダーも承っています。
REIKOMONOの糸を使ったブランド「MIFUNE」から、毎年秋冬の商品として今年もスヌードが発売されます。今回のスヌードは大判で、とても暖かくこの1枚だけでゴージャスな装いになります。数量限定ですが、MIFUNEのオンラインショップにてご購入いただけるのでこちらもあわせてチェックしてみて下さい。
MIFUNE/KROFUNE website: http://mtrism.com/
記事は取材当時のものです。