豊かな緑の中でゆったり美術鑑賞を楽しむ1日はいかが? 千葉県佐倉市「DIC川村記念美術館」

DIC川村記念美術館

 

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館は、緑豊かな敷地を持つ美術館です。山里の地形を生かした自然の風景の中に佇むとんがり屋根が目印。美術通でなくても、気軽に庭園散策や、眺めのいいレストランでランチを楽しんだり、ミュージアムショップでお買い物をしたりと、様々な体験ができるのがこの美術館の魅力です。所蔵作品もすばらしく、ぜひ足を運んでいただきたい、編集部おすすめの美術館です。

 

 

DIC川村記念美術館

 

美術館の開館は1990年、DIC株式会社がその関連会社とともに収集した美術品を公開するために作られました。展示室はそこに展示される作品のために設計されているという点が特徴的です。

 

入館してすぐのエントランスの意匠は神秘的でこころがしんと静まってゆくのを感じます。天井の幾重にも重なったモチーフが印象的で、ここだけでも長å居してしまいそう。

 

DIC川村記念美術館

 

それぞれの展示室は意匠やデザインが異なっており、入館して最初の印象派の展示室は特に人気があるのだそう。この展示室にはピカソ、モネ、ルノワール、シャガールなどの、私たちにも親しみやすい作品が展示されています。

 

ピエール・オーギュスト・ルノワール 《水浴する女》 1891年

 

ピエール・オーギュスト・ルノワール 《水浴する女》 1891年

 

クロード・モネ 《睡蓮》 1907年

 

クロード・モネ 《睡蓮》 1907年

 

印象派の時代には、作品は個人の邸宅に飾られていたということから、展示室も絨毯を敷いた、居心地の良い空間を意識して作られています。

 

またこの1階の展示室の奥にはひっそりとお茶席があります。庭園にある池を眺めながら、テーブルと椅子で気軽に一服できる、ちょっぴり贅沢なお部屋です。

 

DIC川村記念美術館

 

穏やかに作品と向き合える部屋もあれば、作品の存在感に圧倒されるような印象的な部屋もあり、それぞれの部屋は作品の魅力を最大限に生かしつつ、私たちと美術の橋渡しをする場として存在しているようにも感じます。

 

美術館というと、芸術に対する造詣がないと…と敷居が高く感じてしまう人もいるかと思いますが、DIC川村記念美術館の魅力はなんといってもその環境の豊かさ。新緑も深まってきたいま、自然散策も含めて1日過ごせる場所としてぜひ気軽に訪れてみてほしいと思います。

 

行楽シーズンには広場でピクニックを楽しむ方もいらっしゃるほど。これからの季節、モネの睡蓮をイメージさせる風景や、6月には紫陽花も咲き誇りとても美しい景観が楽しめます。季節に合わせて訪れるのも楽しみな場所です。

 

コレクションの展示を主体としているDIC川村記念美術館ですが、年に2、3回企画展を開催しています。所蔵作品への理解を深める目的で、関連作家や同時代の作品を集めて企画することが多く、現在は「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」展が開催されています。

 

ライリーは「錯視」を用いたオプティカル・アートの第一人者として、印象的な作品を生み出しています。前回日本でライリーの展示が行われたのはなんと38年前だそうなので、今回の特別展は国内や海外からの作品が一堂に会した貴重な展覧会です。

 

ライリーの大きな作品の前に立つと、うねりの中にまさしく「揺らいで」いるような感覚を覚えます。色彩の豊かさや、鑑賞者に訴えかけてくる視覚の戸惑いにぜひ身をゆだねてみてください。

 

展示は2018年8月26日まで。特別展に合わせて、レストランやお茶室では特別メニューを用意しているほか、ミュージアムショップでは「ゆらぎ」そうめんが販売されています。合わせて楽しむことで、より一層楽しみが膨らみますね。

 

ブリジット・ライリー ゆらぎ そうめん

 

JR佐倉駅、京成佐倉駅それぞれからバスでのアクセスという、すこし不利な立地ではありますが、おすすめは1日1往復している東京駅からの高速バス。1時間10分で美術館に着くので、都内からも快適に足を運ぶことができます。

 

これからの季節のお出かけに、ぜひ気軽に訪れてみてください。豊かな環境と、魅力的な美術をゆっくりと堪能できる、思わず誰かに教えたくなる美術館です。

 

記事は取材当時のものです。