美濃和紙で人を笑顔に。「石川紙業株式会社」がつくる和雑貨の魅力とは
美濃和紙の産地、手作りの文化が根付く岐阜県美濃市で明治35年に創業した「石川紙業株式会社」。伝統を守りながらも、モダンでデザイン性の高い和雑貨アイテムを発信し続けています。美濃和紙を使ったものづくりの魅力についてじっくりとお話を伺いました。
石川紙業は、岐阜県美濃市のうだつの上がる町並みに本社とショールームを構えられています。昔ながらの古き良き町並みは、市の重要伝統的建造物群保存地区でもあります。とても美しく、どこか懐かしさを感じられるような景観に心が落ち着きますね。
美濃市は古い歴史を持つ“美濃和紙”の産地として名高い町です。美濃和紙は雑貨などの小物から、マテリアルとして使用されるものに至るまで幅広く活用され、私たちに身近な素材として親しまれています。伝統と実用性のある美濃和紙を使ってものづくりをする石川紙業。そのこだわりについてお聞きしてみました。
「まず美濃市には長いものづくりの歴史があり、私たち社員全員がクリエイターであることが強みです。50人の内職さんとともに、ひとつひとつの商品を手しごとで生産しています。日本文化を大切に、そして感性に響くやさしい和雑貨を手作りし、生きる喜びや楽しさをつくる会社です。
石川紙業の製造は、“和紙屋の手しごと文化”として、当社の歴史と地域性を大切にした生産をしています。江戸時代から和紙などの手作り文化が息づく美濃市で創業明治35年の当社は、美濃和紙の原料商や謄写版原子の製造からはじまり、民芸品から和雑貨の製造まで、美濃和紙にかかわり仕事を営んできました」
「商品開発、そして製造の強みは、長きにわたり和雑貨を手作りしてきた石川紙業の歴史文化と美濃市の手しごと文化があってこそ。それに触れる方々に平和な笑顔と幸せをつくりたいと考えています」
地域の伝統を誇り、大切にしながらものづくりを続ける姿がとても魅力的ですね。そこで気になるのがやはり商品のこと。なんと年間の取り扱い商品は1500種類、新作発表は420種類と、数の多さに驚かされます!これらのデザインアイデアは一体どんなところからやってくるのでしょうか。
「多様な加工技術を有し、独自の指導方法で高い技術力の職人を育成し、手作りの生産体制を構築しています。営業・企画・開発・製造・販売の一貫経営を通じ、お客様の声からアイデアの着想をいただいています。また社員全員がユーザーターゲット層でもあり、日常や業務からアイデアを得ることも多々あるのですよ」とのこと。
社員全員がクリエイターであるという強みは、デザインにも生かされており素晴らしいですね。また、自社ブランドの魅力や立ち上げのきっかけについても教えていただきました。
「初の外部デザイナーとともに、新ブランド『黒koku』『笑emi』『白shira』という美濃和紙ライフスタイル雑貨ブランドを発表しました。『世の中を明るく!』『和紙業界を払拭する新しいデザイン!』『私たちがわくわくする新商品!』をテーマに、フォトフレーム、ダイアリー、カードケース、ペンケースなどの製作をしています」
「これらは石川紙業オリジナル手染め美濃和紙を使ったライフスタイル雑貨で、1300年の歴史がある美濃和紙を古都京都で手染めしました。『黒koku』は“無限に広がる宇宙。日本の禅”、『笑emi』は“ほっとけないかわいさ”のアニマル柄、『白shira』は“純真無垢で潔い神聖さ”がそれぞれテーマになっています。今までに見たことがない美濃和紙雑貨として注目をいただいています」
スタイリッシュなデザインで、ざまざまなシーンで活用できそうですね。続いて、とても愛らしい表情に癒される「美濃まねき」について詳しくお聞きしました。
「こちらは美濃和紙をていねいに陶器に手貼りした招き猫です。高山をつくったことで知られる文武両道の武将・金森長近は、江戸時代人生最後にうだつの上がる町並みのある美濃市をつくりました。
開運のまち、美濃和紙の産地で手作りした開運の招き猫。小物入れにもなっていて、美しくやわらかな美濃和紙を楽しんでいただきたいです。ユーザーの皆様を開運する縁起のいい置物小物入れとして可愛がっていただければと願っています」
そう語ってくださったように、石川紙業のものづくりには作り手の想いが込められています。そこで、作品を手に取ったお客様に感じてもらいたいこと、そして「体験ショップ」の活動を通し伝えたいことについて伺ってみました。
「社会は常に変化し、時にコンビニエンス化するあまり、人は心を貧しくする傾向があるように感じます。常に創意工夫した販売、流通、発信を通して、良質な感動をつくることができればと願っています。作品を手に取って、ほっとしたり、癒されたり、笑顔になっていただけましたら、とてもうれしいです。
現在、石川紙業の手作りの技術力を用いた美濃和紙雑貨手作り体験が人気をいただいています。国内はトヨタ自動車様など社外研修、学校校外研修、ツアー旅行、観光客。海外は25か国にも及ぶ外国人のお客様が、美濃和紙の色彩と感触を体感できるアートな手作り体験を楽しまれています。私たちも、お客様の自由な表現から生まれる作品を見せていただけることが、とても楽しみです」
日本文化を大切にし、人々の感性に響く和雑貨を、その時代に必要とされる新しい可能性を模索し開発生産している石川紙業。今後はOEMやオリジナル製作に力を入れたり、手作り体験のできる直営店でのきめ細かい販売で、エンドユーザーの願いを形にした和雑貨をつくっていくことが目標なのだそう。
そして、世界中に笑顔と幸せをつくり、ファンを増やしていけたらうれしいと、あたたかな想いを語っていただきました。
石川紙業のアイテムは、実際に目で見て触れていただくことでより魅力を感じられると思います。全国で開催されるイベントや体験ショップ情報など、詳細はウェブサイトよりチェックしてみてください。
こちらは、2018年12月28日公開の記事を再編集して公開しました。記事は取材当時のものです。