「モノを買う」から「コトを体験する」銀座・伊東屋で過ごすちょっぴり上質な時間を味わう
銀座の地に1904年(明治37年)に創業した「伊東屋」は114年続く文房具の専門店です。2015年のリニューアルを経た現在、銀座のランドマークとも言える店舗は“モノを買う店舗”から様々な体験のできる“過ごせる店舗”へと生まれ変わりました。伊東屋でしか得られない体験と価値を提供する場として、常に新しい取り組みを行っています。
銀座通りに面した大きな赤いクリップが目印の「G.Itoya」は12階建て。それぞれ12のテーマごとにフロア構成されています。
常に観光客や文房具を求めるお客さまで賑わう店内ですが、1階入口から足を踏み入れてはじめに驚いたのが、ドリンクを購入できるカウンターがあること。なかでもレモネードが一押しだそうで、文房具店でありながら、ドリンクメニューも自社開発しているというからさらに驚きです。
なぜこうしたサービスがあるのかというと、今では文房具はどこでも手に入れることができる時代。なので、ただ文房具を買うだけではなくて、1日をのんびり伊東屋で過ごしてもらいたい、「買う場所から過ごす場所へ」といった想いがあるからなのです。
そんな伊東屋で特に人気の商品は、伊東屋ならではのオリジナル商品なのだそう。広い店内には数多くの商品が取り揃えられていますが、伊東屋のオリジナル商品を手にするお客さまは「ここでしか買えない」という付加価値と、わくわくするような体験を求めて店頭に足を運んでいます。
特に力を入れている売り場のひとつが2階、手紙用品を扱うフロアです。いまメールやSNSで簡単にコミュニケーションをとることができるなかで、改めて手紙文化が見直されつつあります。伊東屋の中でも、手紙にまつわる商品は人気なのだそう。特に一筆箋は、大きな便箋では敷居が高いと感じる方でも、気軽に気持ちを伝えられる手紙として、購入者も多いようです。最近人気の簡易万年筆も合わせておすすめで、手紙を書く喜びが一層膨らみます。
このフロアの奥にはゆっくりと手紙をかけるスペースと、すぐに投函することができるポストが用意されています。ただ購入するだけではなく、手紙を書くという体験と時間を大切に、店内で心地よいひとときを過ごせるような心遣いが感じられる、伊東屋の象徴的なスペースでもあります。
編集部が心惹かれたのは、伊東屋オリジナルの切手シート。すぐに手紙が出せるようにと用意されているものですが、凝ったデザインは使うのがもったいないと思ってしまいますよね。
ベーシックな商品、また伊東屋オリジナルのレターセットの他には、海外から直接取り寄せている高級な便箋などもあり、常に賑わいを見せるフロアです。
次に注目なのは高級筆記具のフロア。特に1万円以上するような万年筆やボールペンを取り扱っています。万年筆だけでも1000種類以上と、このフロアもお客さまが多いそうです。フロア内も対面式のカウンターにリニューアルされ、高級筆記具となるとなかなか自分に合ったものがわからないといったお客さまのために、じっくりスタッフと相談し、試し書きをし、たくさんの中から選べるというのも伊東屋ならではです。
お客さまそれぞれに応じた筆記具を取り揃えているため、特にどれが人気ということはないそうですが、伊東屋のオリジナル商品である「ロメオNO.3 ボールペン」は代表的な一品です。大正時代のROMEO万年筆をもとに、現代に相応しいフォルムに設計し、特に書きやすさは格別だそう。カラーバリエーションも豊富で、男女問わず使えそうですね。
時計の竜頭を模した天冠のデザインがポイントで、ひねることで芯を繰り出す仕組みになっています。嬉しいのはたくさんのこだわりが詰まっているにもかかわらず、お値段が高級筆記具の中ではリーズナブルなこと。新社会人の方や、新生活を始める方へのプレゼントにも人気です。
さらに伊東屋を象徴するフロアとして、7階は紙の専門商社である竹尾とコラボレーション。色とりどりの紙が視覚的にも美しくディスプレイされていて、見ているだけでもわくわくします。
ペーパーコンシェルジュという専門スタッフと相談して紙を購入することができ、その他にも紙のテクスチャや雰囲気で選べるよう紙見本がファイリングされていたりと、紙とのいろいろな出会い方を提案しています。
デザイン関係のお仕事のお客さまなど、これといった具体的なイメージがないまま来店されたときでも、ふさわしい紙に出会えるようなフロアです。とても選びやすく、気軽に紙と接することのできるよう、工夫が凝らされています。特にフォトジェニックなディスプレイは海外のお客さまにも好評なのだそう。
そして意外と知られていないのが、伊東屋の最上階にカフェがあるということ。メニューはサラダに力を入れていて、そのサラダに使われている葉物はなんとその下のフロアで栽培されたものなのです。これも「買う」から「過ごす」へのひとつの提案として、伊東屋は取り組んでいます。
実際に11階にある野菜工場を見学させてもらいました。銀座のビルの中で野菜が育てられているなんて、なかなか想像できないですよね。
清潔な環境でLEDライトを使用し栽培されているのは、レタスやルッコラなど。1階のドリンクスタンドで購入することもできます。
文房具好きにはまさに聖地とも言える、銀座・伊東屋。文房具を1日かけて見て回るのももちろん楽しいですが、もっとゆったりと気軽な気持ちで足を運べる場所として、伊東屋を改めて楽しんでみてはいかがでしょうか。1階で購入したドリンクは飲み歩きながら店内でお買い物をすることができますし、ゆっくりお手紙を書いてみたり、カフェで一息ついたり…ここでしか体験できないちょっと豊かな時間を是非過ごしてみては。
最後に、銀座通りに面している「G.Itoya」の1階フロアを通り抜けるようにして裏手に出ると、そこには「K.Itoya」という6階建ての別館があります。
こちらではベーシックな筆記具やノートなどを取り扱っていますが、2階で体験できるNote Couture(ノートクチュール)がいま人気なのだとか。様々な表紙や中紙、パーツを選んでオリジナルのノートを作成することができるという、ちょっぴり贅沢な体験を味わえます。
チームでお揃いのプロジェクトノートを作ったり、旅の思い出を記す一冊にしてみたり、様々なアイデアが膨らみます。待ち時間は30分ほどですが、店内を見て回ればあっという間ですね。
いまではどこでも文房具が手に入りますが、ただモノを買うのではなく、体験や一連のストーリーも合わせて楽しむことができたら素敵ですよね。銀座にお越しの際は、ぜひ伊東屋で過ごす時間を味わってみてください。新しい発見がきっとあるはずです!
記事は掲載当時のものです。