伝統を繋ぐ新しい息吹 Classic Koが魅せる世界、ひととモノを繋ぐストーリー
日本の伝統工芸である蒔絵、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。茶道の道具から現在ではインテリアなどにも使われているものもあります。海外では蒔絵という手法を使った工芸はなく、日本では古く奈良時代から脈々と受け継がれてきた技術なのだそうです。今回はそんな伝統工芸に現在の新しい風を取り入れた美しい作品を紹介します。
加賀の漆工芸大下香仙工房は明治27年に初代大下雪香が金沢にて五十嵐流加賀蒔絵を習得し、故郷の加賀山中に創業。以来124年蒔絵工房を営んでいます。
そんな伝統ある工房から生まれた新しいブランドがClassic Koです。元々グラフィックデザインに携わっていた大下香征さんは、4代目(宗香)が茶道具作家として製造小売業を確立している時期に弟子入りしました。
蒔絵は漆や金・銀粉を使って、素材の表面の質感や表情を変える特徴があり、さまざまな技術を経てひとつの作品ができあがります。
茶器や棗(なつめ)、香合などの漆器蒔絵加工の修行を積み重ねるも年々その需要が減り、蒔絵と世の中の関わり方を見直す必要が高まってくるなか、蒔絵という技術の特質から、現代における「装い」を改めて考え直し、それをテーマとした装身具をデザイン・生産し始めます。
作品のアイデアスケッチ。こうして新しい作品が作り出されていくのですね。とても創造力豊かな世界観を垣間見ることができます。
そうして生み出されたモノとヒトとを繋ぐ場としてブランドClassic Koを設け、体験する売り場・空間・機会をつくり、ディレクションしてきました。デザインや編集、ブランディングについても外部委託することなく、作り手自らが考え行動することで、ものづくりの現場から立ち上がる新たな価値の創出を、伝統工芸のフィールドで築いている強みがあり、大きな特徴です。
その美しさと現代的な意匠は他でも類を見ない作品で、思わず魅入られてしまうような漆工芸の美しさと、モダンな斬新さを感じさせてくれます。
今までお茶道具や美術工芸品を通じて日本の美意識を描いてきた大下工房の魂や思想を知り、その上で新しい価値に置き換えることに特に力を注いでいるそう。
そのように生み出されたClassic Koの蒔絵ジュエリーの魅力と人との出逢う場を作り出していくことは、ものを生み出していくだけではなく、作り出される世界観を伝えて新しめていくことなのです。
現代のものづくりのチームとして、天然素材を用いつつ伝統的に培われた技術を生かし、今のクリエイションに挑戦できるものづくりの場を創出させることを大切に活動を進めています。
手に取ったお客さまには、Classic Koの蒔絵装身具は、物自体の美しさに魅せられつつ工芸文化を感じるものであってほしいと考えています。
更に、そこへ自身の思いや物語を添えてもらえたら嬉しいです、とのこと。
ピアスも一見蒔絵とは思えない上品さを保ちつつ、とても肌馴染みするデザイン。
そうして人と手の仕事によって生み出されるモノの素晴らしさ、温かみを感じていただき、人の人生を豊かにしていくものとしてお客さまと関わり続けられたら嬉しいです、とお話ししてくださいました。
またClassic Koでは、蒔絵工房としてものを作り販売するだけでなく、一緒に「蒔絵や螺鈿でアクセサリーを作るワークショップ」なども東京(2018年は横浜、金沢、大阪でも)で行なっています。
日本の伝統的な工芸技術をいまに伝えつつも、そこを接点として新たにつながる場を創出して行きたいです。また、引き続き蒔絵を生かしつつ、新しい美意識を創造し続けたいと思っています。「ひと」と「蒔絵」という伝統工芸の関係性を常に新しくしていくこと。
それから、ものづくり人として仲間を増やしたい。自分たちと考えを共有し、一緒にものづくりについて考え、価値を創造(共創)していける人が増えれば嬉しいです。お客さまとしても、仲間としても。
蒔絵という日本ならではの伝統技術を未来へ繋いでいきたい、そんな心意気を感じさせてくれるClassic Koのものづくり。その背景には様々な伝統の革新、現代へ伝統技術を引き継いでいく使命感を感じることができました。
みなさんにも是非、Classic Koのすばらしい作品に触れ、伝統の新しい息吹を感じて欲しいと思います。展示会なども積極的に行われていますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
記事は取材当時のものです。