まるでアートのような刺繍の世界へ!金沢「taffeta(タフタ)」の紡ぐ物語
今回は石川県金沢市にて、セレクト雑貨や洋服などの販売を行いながら刺繍作品の製作を行う、アトリエ兼ショップ「taffeta(タフタ)」にお邪魔しました。カラフルなものからシックなものまで、店内には色とりどりの作品が並びます。taffetaオーナー、そして刺繍作家である髙知子さんにインタビューをさせていただきました。
金沢市にある新竪町商店街の一角にお店を構えるtaffeta。隠れ家的な個人商店や飲食店が軒を連ねる、のんびり町歩きするにはぴったりな商店街です。以前きるるはららでも紹介させていただいた、「benlly’s & job(ベンリーズアンドジョブ)」さんもご近所さんなのですよ。
ブランド名であるtaffetaとは“紡ぐ”という意味で、その名の通り、店内には髙さんご自身が紡いだ美しい刺繍作品たちが。
花柄、幾何学、そして独特な模様など、色の合わせや糸の重なりでいろいろな表情が見えてくる自由さのようなものをコンセプトにされているそうです。そんな高さんがものづくりを始められたきっかけについて伺ってみました。
「昔から図工や工作などが好きで、刺繍はその延長にある気がします。例えば絵を描く時、下絵は上手く描けても絵の具を乗せてダメにしてしまうタイプで…きっと絵を描く人への憧れのようなものは持っていた気もします。私と相性が合ったのが糸であり、絵の具が糸になったのだと思います。」
作品はまるで絵を描いたかのようにデザインが乗せられており、一見すると刺繍だとわからないほど。近くで見るとその細やかさに感動させられます。
また自分でものを作り出している人が髙さんの周りに多く、それも影響しているのだとか。お店を開くきっかけもひょんな事からだったと語ります。
「以前私はbenlly’s & jobで働いておりました。もともとオーナーの田中さんがお店に使っていた場所で私が刺繍の個展を初めて行うという時、たまたまお店の移転が重なりました。その時田中さんに背中を押していただき、独立して自分のお店をその場所でオープンすることになりました。」
お二人にそんな繋がりがあったとは驚きです!今も同じ商店街でそれぞれの道を進まれているのですね。続いては髙さんの作品についてですが、ひとつとして同じものがなく、とても独創的なデザインに心惹かれます。一体どのように生み出されているのでしょうか。
「刺繍のデザインなどは描いたりせず、刺しながら考えています。ひたすら刺して次にデザイン、そして次のデザインと連鎖していく形をとっています。ペンを持って考え出すと、逆に悩みすぎてアイデアが出てこないのです。」
中にはとても複雑なデザインや色を多用したものもあり、直感で針を刺して作られているとはとても驚かされました。
また作品の種類も多岐に渡ります。絵画のように壁に飾ることのできる大小さまざまなパネル作品から、ブローチ、イヤリングなどの身に付けられるアイテムまで、わくわくするもののばかり。
どの作品を見ても、きっちりと、そしてていねいに刺繍が施されており、手しごとならではのあたたかみもしっかり感じられます。そんな髙さんに、今までにあったすてきなエピソードについてお聞きしてみました。
「以前大きめの刺繍作品を作っていたことがあり、結構な枚数を自宅に保管していました。金沢に友人が遊びにきた際に彼らがそれを知って、作品を発表しないと!と急遽みんなで作戦会議のようなものが始まりました。その時のみんなのおかげで初めて個展を開くことが決まり、不思議な気分になりましたね。」
今後またもっと大きな作品を作りたい、また違う素材のものを使って何か新しい表現もできたら、ととても意欲的な髙さん。そして作品を手にしたお客様にとって、少しでも嬉しい気持ちになっていただけたら幸せですと語ってくださいました。
アトリエに訪れる度に新しい発見ができそうな、とても魅力的なブランドtaffeta。なんと来月から韓国で展示も始まります!パネル作品やブローチなどの展示販売が行われるそうです。詳細はウェブサイトとインスタグラムでチェックしてみてくださいね。
記事は取材当時のものです。