きるるはらら

物語のあるモノと暮らしマガジン

京都あじき路地「すずめ家」の手製本ノートにあなただけの物語を綴ってみませんか?

京都・建仁寺のすぐ近く、町家が連なる小さな路地、あじき路地。各地から集まった作家さんがそれぞれものづくりに励みながら暮らしています。今回は、そのあじき路地にお店を構え、手製本ノートや紙こものの製作、販売をされている「すずめ家」をご紹介します。猫と一緒に暮らしながらお店を営む、作り手の村松佳奈さんにお話を伺いました。

お店の名の通り、すずめのスタンプがトレードマークになったあたたかみのある手製本のノートたち。どれも可愛らしく、そして手に取ると丁寧に作られたことが伝わってくる、思わずほっこりしてしまうアイテムです。そんな「すずめ家」というチャーミングなお店の名前には、色々な意味が含まれているようです。

まずすずめというのはすごく身近で、人のそばにいつもいるのに、餌やすみかを人に依存しないのです。その存在の軽やかさがとても良い救いだなあと感じていて。日々どんな瞬間にも小さな傷つきと救いを繰り返して生きている日常の中で、いつもそばにいてさえずっていて、存在に気づくとふっと笑みが零れて、それで背伸びしてまた歩き出す、みたいな風景を作れる小さな存在であるすずめの名を選びました。と、村松さん。

また、すずめ家のコンセプトの一環である「ちいさくて、いつもそばにいて、さえずっている」の由来についても教えていただきました。

「ちいさくて」というのはそのままサイズ感のことです。製本機や裁断機でなく、手のなか腕のなかで作れるサイズのもの。それは手で書くという行為にバトンタッチするためのサイズです。手から手へ繋ぐことを大事にしたいです。「いつもそばにいて」というのもサイズから繋がって、丈夫なノート、大切に扱いたいノート、ということです。

「さえずっている」というのは、お客様の書くという行為につながります。さえずりのような小さなことでも、なんでも、その一片が確実に人生の中であったことを残すこと、わたしはそういう肯定を人に届けたくて、もったいないなんて言わないで、と言いたくて、良いノートを作ります。

それからすずめ「屋」にしなかったのも、「屋」というのは暖簾のかかった職人のところ、みたいなイメージがあって。「家」なら扉を開けたら気が抜けるから、「家」にしました。そこにはひとのくらしの気配があるような気がして。そう語る村松さんからは、まっすぐな想いが感じられます。

そんな村松さんが手製本でノートを作ろうと思ったきっかけを伺いました。最初は豆本作りから始まったそうですが、名文ばかりで恐れをなしてしまい、物語を綴じることに申し訳なく感じるようになってしまったのだそう。

村松さんはこう語ります。しかしノートなら、わたしは形を作って中身を相手に委ねられます。そうやってノート作りにシフトしました。こういうマイナス思考からスタートしたんですが、でも今はわたしにしては最高の舵を切ったんでは?とにやついています。無地のノートは、なんでも受け止めます。文章にならないような物語が、人の手に渡ってから始まるんです。とてもわくわくします。どんな子に育ててもらえるのか、わたしにはわからないけど、そういう距離感がいいなあ。

「使い手にノートを育ててもらう」、その考え方がとても謙虚で、まっすぐで、使い手である私たちもノートに向き合って文字を綴りたくなりますね。

すずめ家のアイテムを生み出す上で大切にされていることは、使い手が一番触れる部分にあるのだそう。

例えばノートの小口は手で切っています。1センチ前後の厚い紙の束をできるだけ垂直に、カッターナイフでしゅっしゅと切ります。その方がまずなめらかに仕上がります。なぜそこをなめらかに仕上げたいかというと、使っている時に一番敏感な指先が常に触れる部分だからです。少々の凸凹が出ているものもあります。でも、その一番触れる部分に手仕事を残したいです。そこは離れてからも繋がっている部分かもしれないですから、と村松さん。

また気になるのが職住一体の暮らしについて。作ることが大好きで、ずっと作り続けてしまうことが良くも悪くもと思っています、と村松さんは語ります。お店の方ばかりになってしまうので、ねどこの方にも目を向けなければ…と職住一体ならではの大変さも教えて下さいました。

ものづくりへのこだわりを持ち、そしてとても人間味溢れる村松さん。今後新たに作ってみたい商品やこれから挑戦して行きたいことについて伺いました。

今後はちょっと作家性といいますか、表現にも手をつけたいと思います。一点ものの表紙を製本家として仕上げていきたいなと、挑戦してみています。それから京都という特殊な土地柄、その土地の魅力に負けないような伝え方や売り方を模索したいのだそう。

最後に、村松さんから素敵なメッセージを頂戴しました。

例えば昔に書いたメモの切れ端を見つけて、当時の記憶が蘇ったことはありませんか。辛いことも楽しいことも、たくさんあったことをぶわっと思い出して、でもその時あなたは微笑んでいませんでしたか。大は小を兼ねると言いますが、小さな連なりの連続が大げさに言うと人生だと思うのです。

「何書こう、もったいない」なんてそんなことないんです。何を書いてもその後見返したあなたは微笑んでいると思います。そういう時間をわたしはあなたと作りたいです。何を書いてもいいように、ノートは無地で作ります。丈夫な硬いやつも、優しく扱いたい軟らかいやつも揃えています。良いノートに、いつか微笑みに変わる種を残してください。種を食べてすずめは大きくなって、いつかそれがとても愛しいものとなりますように。

村松さんのあたたかい人柄がそのままノートというものに投影されたような、思いやりに溢れたすずめ家の商品たち。ふと思いついたことを書き留めたり、日記として活用してみたり。すずめ家のノートを開けば、何でもない日々があなただけの物語になるようなわくわく感でいっぱいになるはず。

村松さんの丁寧で真摯な手仕事により生まれたすずめ家の手製本ノートを、ぜひ実際お手に取って触れて感じてみて下さい。店舗のオープン情報や各地で開催されるイベント情報は、WEBサイトよりチェックして下さい。

  • 手製本ノート、紙こもの すずめ家
  • https://www.suzumeya.net/
  • 京都府京都市東山区大黒町通松原下ル2丁目山城町284あじき路地

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