きるるはらら

物語のあるモノと暮らしマガジン

透き通るガラスの美と手しごとの造形。自然豊かなものづくりの里で生まれる器。静岡県森町「floresta fabrica」

floresta fabrica 吹きガラス工房

静岡県の森町は焼き物の里としても知られる自然豊かな場所。その森町に吹きガラスで暮らしの器を製作している工房があります。floresta fabricaはポルトガル語で「森」と「製作所」という意味。うぐいすがさえずるのどかな土地に構えた工房にお邪魔して、うつくしいガラスの作品についてお話を伺ってきました。

 

ガラス工房で製作に携わるのは、鈴木努さんと横山亜以さんのお二人。なんとも素敵なお庭に佇む日本家屋で工房を始められたのは、2016年の2月からだそう。近くには伝統の森山焼の窯元が、古くからは4件、今は8軒ほどあるという、ものづくりの盛んな場所です。

 

floresta fabrica 吹きガラス工房

 

実は鈴木さんも、ひいおじいさんの代から続く森山焼の窯元がご実家なのだとか。窯元はお兄さんご夫婦が後を継いで、今でも創作活動を続けていらっしゃいます。

 

高校を出てすぐ、ガラス工芸の技術を学ぶ学校に進んだ鈴木さん。川崎の専門学校で基礎を学んだあと、福井で本格的な吹きガラスの技術を学びます。そして東京で数年間働き、この森町に戻ってきました。

 

ものづくりの町であるこの土地が好きで、最初から工房を作るなら森町でと考えていたそうです。開口部を大きく取った今の工房は、森町の物件を色々と探した中で見つけた場所。

 

floresta fabrica 吹きガラス工房

 

陶芸の窯元が多く、見学者の方も足を運ばれるため、このガラス工房も見学用にとギャラリースペースを広く作っています。お二人で考えて大胆に襖や欄間を外したり、木を貼ってみたりと、色々と手を加えられた素敵な空間。ゆっくりとした時間が流れる、そんな雰囲気にガラスの透き通った存在感が引き立ちます。

 

floresta fabricaの吹きガラスの特徴のひとつは、透明度の高いソーダガラスを使っていること。そのソーダガラスですが、釜で溶かす作業ひとつをとっても、透明感のあるきれいなガラスに仕上げるために非常に気を遣う作業なのだそう。

 

floresta fabrica 吹きガラス工房

 

また色のついたガラスについては、アメリカや北欧の食器にある強い色味ではなく、やわらかな中間色を使って、一年中食卓の上にあっても違和感のないような器にあえて仕上げています。ガラスはどうしても夏のイメージが多いので、作り手としては一年中使って欲しいという気持ちから色味にはこだわっているそう。お客さまからは「こんな色もあるんですね」と驚かれることも。

 

ひとつひとつ手作りしている、その手作りの良さを強みに、日常をちょっと華やかにしてくれるような器を提案しているお二人。あくまで作家性を前面に出すのではなく、生活に寄り添うことを意識しながら、そこにちょっとしたかわいらしさやアクセントを付加しているそうです。

 

floresta fabrica 吹きガラス工房

 

そんなfloresta fabricaの器、手に取ったお客さまには自由に楽しんでいただきたいとのこと。ものが入ってこそ完成する器だと考えているので、お客さまが使う様子をSNSで見て、こんな風に使ってもらえているんだという発見があったときはひときわ嬉しい瞬間です。

 

floresta fabrica 吹きガラス工房

floresta fabrica 吹きガラス工房

 

割れるのが怖いからと買っても使わずに食器棚にしまわれてしまうのが一番悲しいです、と横山さん。割れてもいいから使って欲しい、お客さまには陶器と同じように扱ってくださいとお伝えしているそう。

 

作り手の鈴木さんの楽しみは、自分が描いている理想の器に限りなく近づいたものができあがったとき。もちろん販売するには何の問題もないものだけれど、鈴木さん個人がすごくいいなと思うものは1日にほんの数個。それはまさに作り手のこだわりなのかもしれません。

 

floresta fabrica 吹きガラス工房

 

今後は他業種の方とのコラボレーションや、他の素材との組み合わせなどもものづくりの可能性として考えているそう。陶芸の町ならではの新しい作品ができあがるかもしれませんね。これからのお二人のご活躍に期待したいです。

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