白磁のどうぶつえんへようこそ!波佐見焼「アトリエやま」から生まれる物語

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 山下夫妻

 

つるんと滑らかなフォルムに美しい純白のボディ。いまにも動き出しそうな愛らしい動物のモチーフに思わず胸がきゅんとする「白磁のどうぶつえん」。やさしくあたたかな作品群は、長崎県波佐見町に工房を構える「アトリエやま」で、ある一人の職人によって生み出されていました。

 

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アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 ブルドッグ

長崎県波佐見町は、お隣の有田焼とともに400年以上も前から磁器を焼いてきた歴史ある焼き物のまち。その土地に数ある窯元の中でも、動物をテーマにしたかわいらしい磁器のおきものがつくられているというユニークな工房があります。

それが平成18年から続く「アトリエやま」です。今回はアトリエやまの代表であり、白磁の動物たちの生みの親である山下行男(いくお)さんに貴重なお話を伺いました。

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 山下行男さん

山下さんが焼き物に興味を持たれたきっかけは、お父様が波佐見焼の窯元に長く勤められていた影響もあるそうなのですが、決定的となった出来事は高校時代にまでさかのぼります。

佐賀県の有田にある工業高校のデザイン科に進んだ山下さん。そこでデザインのすばらしさ、ものづくりの楽しさに触れます。

その後陶磁器デザイナーとして著名な森正洋氏と出会い、直接指導を受けた経験も大きなものだったそうです。田舎にいても世界的に活躍できるのだと、とても感動されたことをよく覚えているのだとか。

「若かりし時ですから、特に都会への憧れもありました。ですがこの経験が波佐見に定着する大きなきっかけとなりました」と、山下さん。

そんな山下さんが生み出すものは、とてもかわいらしい動物の作品。そこで、動物をモチーフにする理由について伺ってみました。

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼

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「理由はたくさんありますが、最大の理由は“自分らしさ”を一番表現できると思ったからです。作品を永く、そして一定のレベルのものを安定してつくるには、作者の体の中から自然に湧き上がってくるものでなければ続きません。

私の作品をご覧になったお客様から『行男さんと同じでやさしいね』とよく言われますが、作品の裏に私の顔が見えるとおっしゃっていただけるのが何より嬉しいことです」

また、山下さんがデザインするときにイメージすることは豊かな自然の中で穏やかに、そして生き生きと躍動する動物たちの姿。それは本質的に地球の、そして私たち人間社会の未来の姿『ユートピア』に重なるのです。

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 ブルドッグ

それを意識しつつ、シンプルでモダン品格(格調)やさしさとあたたかさをデザインのコンセプトとして作品づくりをされているのです。そこで、ものづくりをする上で大切にしていることをお聞きしてみました。

「最も大切なことは、ものづくりを通し多くの人たちと喜びを共有することです。アトリエを始めてから13年になりますが、すでに1万人以上の方のもとに私の作品が届けられました。そのおひとりおひとりの重さを感じながら、それを励みにしてつくり続けています。

また、何事にも手を抜かないことも非常に大切にしています。シンプルな作品は一見簡単そうに見えますが、美しいフォルムをつくるために設計段階から原型、成形仕上げに至るまで気を抜けません。より良いものをつくることを常に意識しています」

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 山下行男さん

山下さんの作品には大きく2つの特徴が。ひとつは釉薬を施したつや有り、そしてもうひとつは釉薬をかけないで本焼きしたつや無し

特につや無し(マット)作品は、最上ランクの天草陶石を使用し、成形、素焼き、本焼きの3段階においてていねいに磨きをかけたものなのです。

上品な風合いを持ち他に例を見ない作品と評価されており、家庭画報の通販カタログでも毎年採用されているのだとか。

実際に作品ひとつひとつを手に取ってみても、山下さんのまっすぐで真摯なものづくりへの気持ちが伝わってくるのです。今までにたくさんの動物作品を生み出された山下さん。中でもおすすめの作品を教えていただきました。

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 馬

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「まずは馬の作品です。デザインコンセプトが良く表現できた造形作品のひとつです。大草原を闊歩する生き生きとした姿、そしてたくましさの中にも穏やかでやさしさが感じられる馬をイメージしてつくりました」

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 にわとり

「続いてとりの作品。夜明けを告げるにわとりの元気な姿をイメージし、それをぎりぎりのところまで抽象化しました。シンプルでモダンな中に、おおらかでかわいらしい姿も感じられる作品です」

本当にどの作品も愛らしく、しかしどこか躍動的で見ていて楽しくなるものばかり。一点一点見比べても、どことなく表情の違いを感じられて愛着が湧くのです。続いて実際に作品を手に取ったお客様に感じていただきたいことについて伺ってみました。

「作品に対する思いやコンセプトを感じ、お客様が喜んでもらえることが何より嬉しいです。お買い上げいただいたお客様から時折電話でご感想を寄せられますが、私の思いとぴったり一致したときは無常の喜びを感じます。

また作品においては動物モチーフをぎりぎりまで抽象化していますが、かわいらしさややさしさを表現するにはある程度の具象的表現も必要になります。抽象と具象の兼ね合いも感じていただければと思います」

アトリエやま 白磁のどうぶつえん 波佐見焼 山下行男さん

山下さんがこれから挑戦していきたいことはまだまだたくさんあるのだそう!作品で言えばくじらやいるか、たこ、ふぐ、かめ海の生き物や鳥などの空の生き物も増やしていきたいと語ってくださいました。

また、今年74歳を迎えられますが、体力の続く限り90歳まで作陶に挑戦したいととても意欲的!現在のお姿から溢れ出るその若々しさに納得です。これからのアトリエやまの活躍がとても楽しみで、私たちもわくわくさせられますね。

アトリエやまの作品は、一度手に取って見ていただくことで魅力が更に伝わるかと思います。アトリエの詳細や最新情報はウェブサイトをぜひチェックしてください。

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こちらは、2019年2月25日公開の記事を再編集して公開しました。記事は取材当時のものです。